何歳までなら大丈夫とは言えませんが、子宮頚がんは若い年代に多くみられる病気です。20代後半から発症率が上昇し、30から40代で発症率はピークとなります。子宮体がんが50から60代でピークを認めるのとは対照的です。なので市町村での子宮がん検診の助成対象は20歳からが多いです。
性交時出血、不正性器出血、帯下増量感など。ただし、子宮頚がんは自覚症状に乏しく、これらの症状が認められる場合には進行している可能性が高いです。子宮頚がんは、自分で見つけるのが難しい病気なのです。ぜひがん検診を定期的に受けて下さい。
子宮頚がんではありませんが、正常細胞ではない変化した状態のことをいいます。細胞上の変化なので見た目にはわかりませんし、細胞診(顕微鏡で細胞を見る病理検査のこと)や組織診(顕微鏡で組織片を見る病理検査のこと)で見つかります。
がん検診で要再検査の結果が出ますと、コルポスコピーという拡大鏡を用いて、いかにも怪しい所(曲がりくねった血管が見えたり、斑点が見えたり、敷石状に見えたりする所が怪しいです)を狙って、2、3か所組織を取る「コルポスコピー下狙い組織診(バイオプシーともいいます)」を行います。子宮頚部異形成は、その狙い組織診で初めて診断がつきます。症状は特にありません。
異形成はさらに軽度、中等度、高度に分類されます。
大部分は自然に消退するのですが、なかにはゆっくり進行し、やがてがんになるものもあります。
なので、異形成は、前がん状態(がんではありません。将来がんになるかもしれないという事です)として扱い、外来にて慎重にフォローする必要があります。
がんの診断なので、基本的には、がん細胞の有無を確認することになります。
肉眼的に確認できる場合には、組織を取り、組織診(病理検査です)を行います。
肉眼的に確認できない場合には、まずがん検診を行い、要再検査が出たら組織診という、子宮がん検診と同じ流れで診断することになります。
①要再検査で初期がんが疑われた場合:(がん細胞は検出されたという事なので)進行の具合(何期であるかの確認)を確認するため
②高度異形成の診断だが、がんの疑いも強い場合:他の部分にがんがあるかどうかを確認するため
①②どちらの場合も、子宮頚部全体の組織診を行います(要再検査の場合は、Q-3でもお話しした狙い組織診です)。
子宮口を中心に360度円錐状に切り取り、子宮頚部全体にわたって組織診を行う「子宮頚部円錐切除術」を行います。
つまり、肉眼的に確認できる場合には、その部分の組織診を行い、がん細胞を確認し、そCTやMRI、内診などで広がりを確認し、何期か判断する。
肉眼的に確認できない場合には、子宮頚部全体にわたって組織診を行い、がん細胞の有無
を確認し、顕微鏡で広がりを確認し、何期か判断する。ことになります。
子宮がんの進行度(ステージ)は厳密に診断基準が定められています。ここではおおまかな目安をお話します。
0期:初期がんです
Ⅰ期:Ⅰa期はさらにⅠa1期とⅠa2期に分かれます。数ミリ程度の大きさです。
Ⅰb期はさらにⅠb1期とⅠb2期に分けられます。子宮頚部に限局し数センチ程度の大きさです。
Ⅱ期:Ⅱa期はさらにⅡa1期とⅡa2期に分けられます。膣壁にまで浸潤が及び始めた段階です。
Ⅱb期は子宮頚部から骨盤壁方向へ浸潤が及び始めた段階です。
Ⅲ期:Ⅲa期は膣壁の下1/3を超えて浸潤が及んだ段階です。
Ⅲb期は骨盤壁にまで浸潤が及んだ段階です。
Ⅳ期:直腸、膀胱粘膜にまで浸潤が及んだ場合や、小骨盤腔を越えた遠隔転移がここに含まれます。
子宮頚がんの進行度(ステージ)によって治療方法は異なります。
基本的には初期がん~Ⅱ期では、手術療法(術後に放射線療法や化学療法が追加させることもあります)Ⅲ期以上では放射線療法か化学療法、または放射線治療+化学療法、が一般的です。子宮頚がんでも組織型(扁平上皮がんや腺がんなど)により治療方法も変わる事があります。