新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明 (2020年4月1日版)

※本声明は現時点の情報をもとに策定されたものであり、今後の状況の変化に応じて必要とされる対応策に変更があることにご留意ください。※


 新型コロナウイルス(COVID-19)は感染力の高いRNA ウイルスであり、重症急性呼吸器症候群を引き起こす新興感染症として世界的な広がりをみせています。WHO は3月11日にパンデミックを宣言し、日本国内でもCOVID‐19 感染の進行、特に感染ルートが不明な感染者の増加により、感染爆発が危惧されています。
 現時点において、COVID‐19の死亡率はインフルエンザの10~15倍と考えられており、そのほとんどが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関連したものと考えられています。

 COVID-19 が妊娠、特に妊娠初期の胎児に及ぼす影響は明らかになっておらず、母体から胎児への感染の可能性は不明です。また妊婦におけるCOVID-19 の感染リスクが高いとはいえません。一方で、妊婦においてCOVID-19 感染の重症化の可能性が指摘されていることや、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤による治療が試行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとのCOVID-19 感染への対応に苦慮することが予想されます。

 また受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されます。このような背景から、国内でのCOVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できるCOVID-19 予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示していただくよう推奨いたします。

 また、既に調節卵巣刺激を開始し採卵を予定している患者さんについては、胚凍結の上で上記の状況を踏まえて胚移植時期を検討してください。胚移植を予定している患者さんについても同様の検討をおねがいいたします。

 人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮してください。

 

  以上のような声明が4月1日付けで発表されました。

 現在当院にて不妊治療を行っている患者様については、個別に説明させて頂きたいと思います。